先日、当事務所が顧問を務める企業のバンクミーティングを開催しました。
目的は、資金繰り改善支援に伴う借入金の返済条件(元金返済)のリスケジュール=リスケの協議です。
複数行との交渉となりましたが、結果としてリスケは承認され、企業としては今後の経営立て直しに向けた第一歩を踏み出すことができました。
今回はその経験を踏まえて、「バンクミーティングとは何か」「どのような流れで進めるのか」をご紹介いたします。
■ バンクミーティングとは?
バンクミーティングとは、借入先金融機関(主に複数行)との合同会議のことです。
企業が財務の再建や資金繰り調整を図る際、複数の金融機関にバラバラに説明するのではなく、一堂に会して同時に説明・相談する場として設けられます。
主な目的は以下の通りです。
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借入条件の変更(リスケ)のお願い
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現状の経営状況と今後の計画の説明
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支援を受けるための信頼構築
■ 今回のケースについて
今回の顧問先企業では、
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売上は一定あるものの、借入返済と運転資金のバランスが崩れ
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キャッシュフローが逼迫し始めた段階で相談を受けました。
当事務所で資金繰表をもとに状況を可視化し、
返済条件の見直しが必要と判断。主な借入先である4行に対し、返済猶予(元金の一定期間据置き)を含むリスケ(返済条件変更)案を提示する運びとなりました。
■ バンクミーティングの流れ
バンクミーティングは、単に「集まってお願いする場」ではありません。
事前準備と進行の設計が成否を分ける場面でもあります。
【1】事前準備
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財務資料(資金繰表、月次試算、返済計画案)の整備
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経営者ヒアリングと今後の方針整理
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金融機関に対する事前連絡とアポイント調整
- ミーティングの場の調整はメインバンクの担当者が実施
【2】当日の進行
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経営者及び当事務所による現状報告
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課題の共有と今後の見通し説明
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各行からの質疑応答
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リスケ案(返済猶予や条件変更)に対する反応と方向性の確認
【3】ミーティング後
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各行との個別調整
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合意内容の文書化(条件変更契約書など)
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モニタリング体制の構築(経営改善計画の共有)
■ バンクミーティングを成功させるポイント
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嘘をつかないこと
→ 数値の不整合やごまかしは信頼を一瞬で失います。 -
現状を「見える化」すること
→ 資金繰表や事業計画の整備が不可欠です。 -
当事者意識を持つこと
→ 経営者自らが意思をもって説明する姿勢が重要です。
■ まとめ
バンクミーティングは「苦しい状況を打開するための対話の場」であり、金融機関にとっても「情報を正しく得るための場」です。
誠実に、そして戦略的に臨むことで、企業にとって再起のチャンスを得ることができます。
リスケを含む資金繰り調整や金融機関交渉でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。